蛙化現象

蛙化現象と英語

蛙化現象と英語

片思いだった相手に告白されたり付き合ったりした途端に気持ち悪くなったり嫌いになる恋愛心理を指す「蛙化現象(かえるかげんしょう)」。

蛙化現象の「蛙」の由来は、グリム童話の『かえるの王さま(王子さま)』にありますが、この蛙化現象という言葉は海外にも存在するのでしょうか。

僕が調べたかぎり、現在「蛙化現象」を英語に翻訳した言葉は存在しません。

もともと「リスロマンティック(lithromantic)」という言葉は英語に存在しますが、適用される範囲が多岐に渡るので、このリスロマンティックの一部分を切り取って日本で「蛙化現象」と呼ぶようになったようです。

リスロマンティックについて説明された海外サイトで紹介されている12の特徴のうち、たとえば以下の3点などは蛙化現象ととても類似しています。

  • 恋愛感情を一時的に持つにも関わらず、ある段階に達すると消える。
  • 身体的接触(性的ではないものも含む)が嫌。恋愛的な触れ合いをしたくない。
  • 二次元など非実在のキャラクターが好き。非実在キャラから恋愛感情が返ってくることは当然ないので、非実在キャラへ熱狂している場合は、気持ちを返されること自体を不快に感じることがある。

リスロマンティックのうち、特に「嫌う」「気持ち悪いと感じる」という部分が強く出るものが、蛙化現象と名付けられたのでしょう。

それでは、いつから誕生した呼び方なのでしょうか。

どうやら2004年に発行された心理学の論文集『女子が恋愛過程で遭遇する蛙化現象』に掲載されているのが、現在辿れるもっとも古い文献のようです。

また、2012年以降、蛙化現象という言葉が知恵袋などネット上でもちらほらと見られるようになっています。

英語にない理由としては、蛙化現象の原因の一つに挙げられる自己評価の低さが関連しているのかもしれません。日本人の若者や子供の自己肯定感の低さは、近年特に表立って語られるようになりました。

自分を嫌う、気持ち悪いと思う、ということが、結果として、そういう自分を好きになる相手のことも気持ち悪く思うようになるのが「蛙化現象」だとすれば、自己肯定感の低さが、日本で蛙化現象というものをリスロマンティックのなかから取り出して光を当てることに繋がった要因とも考えられるかもしれません。

もし英語で説明するなら、そのまま「KAERUKA syndrome(蛙化シンドローム)」でもよいのではないでしょうか。