“恋愛できない”男性・女性
昨今、“恋愛できない”という男性や女性が増えています。
恋愛というのは実は結構難しい言葉で、一言で「恋愛」と言っても色々な要素を含んでいます。たとえば片想いで遠くから恋をすることも恋愛ですし、両想いになることも恋愛、付き合うことも恋愛、また結婚していても恋愛感情が残り続ける夫婦もいます。
恋愛は、「状況」を意味する言葉でもあれば、また自分自身に渦巻く「感情」を指す場合もあります。
だから、“恋愛できない”という言葉が意味するものにも、「好きなひとが見つからない」という意味合いもあれば、「好きなひとができない(恋愛感情が持てない)」という意味や、「付き合っても長続きしない」「いつも振られる」といった意味を示す場合もあります。
それぞれの原因や理由は違いますが、ここでは、“恋愛できない”のうちの一つである「リスロマンティック(lithromantic)」について解説したいと思います。
リスロマンティック(lithromantic)の心理を解説
数ある“恋愛できない”状態の一つである「リスロマンティック」、聞きなれない言葉かもしれませんが、果たして一体どういった状態なのでしょうか。
Wikipediaによれば、「リスロマンティック」について以下のように説明されています。
リスロマンティック(Lithromantic):恋愛感情は抱くが、相手から恋愛感情を向けられることを望まない(もしくは必要としない)こと。相手と相互的な関係になると恋愛感情が失われる人もいれば、相互的な関係になっても恋愛感情は失われない人もいる。アコイロマンティック(akoiromantic)やアプロマンティック(apromantic)とも。
リスロマンティックとは、恋愛感情は抱くものの、片想いでじゅうぶんで、両想いになったり付き合うことは望まないひと。
もし付き合うことになってもそのせいで恋愛感情が冷める(むしろ嫌いになったり気持ち悪くなることを「蛙化現象」と言います)、また望みはしないものの両想いになっても恋愛感情自体は薄れないひとなど深さにもグラデーションがあります。
男性にしても女性にしても、普通の恋愛であれば、①好きになる。②積極的に関わったり、遠くから憧れる。③徐々に距離が近づき、告白する。④付き合う。⑤幸せ。といった流れになるでしょう。
しかし、そもそも恋愛というのが普通の状態からの逸脱なので、色々な細かく複雑な心理が影響し、リスロマンティックのような形になることも決しておかしいことではありません。
海外の動画でも、リスロマンティックを表現したアニメーションがあります。
動画 : being lithromantic
このアニメーションでは、一目惚れで好きになったひとと両想いになり、付き合うことになるものの、すぐに自分から恋人関係を解消する、という様子が描かれています。
リスロマンィックの特徴としては、「The Lithromantic: What It Really Means & 12 Signs You May Be One」で、12のサインが掲載されています(全文英語なので分かり易く翻訳してくれているサイトを参考に羅列します)。
・恋愛関係になる必要性を感じていない。
・恋愛感情を重要なものだと感じることができない。
・恋愛というものを嫌悪している。互いに愛を表現しあいたいと人々が望む訳がさっぱりわからない。
・恋愛というものを恐れている。恋愛で相手に心を開くことが怖い。
・プラトニックな関係を求めている。
・恋愛感情を一時的に持つにも関わらず、ある段階に達すると消える。
・身体的接触(性的ではないものも含む)が嫌。恋愛的な触れ合いをしたくない。
・二次元など非実在のキャラクターが好き。非実在キャラから恋愛感情が返ってくることは当然ないので、非実在キャラへ熱狂している場合は、気持ちを返されること自体を不快に感じることがある。
・恋愛であれなんであれ、どんな種類の関係性も望んでない。どのような種類のものであれ他人と関係を育む、と考えると、不快な気分になる。
・付き合おうとかどう思ってるの、とか言われたら途端に好きではなくなる。リスロマンティックな人は、恋愛感情が存在していることを認めたくないのかもしれない。
・自分の恋愛感情を誰にも教えず、完全に秘密にしておきたい(告白するのが怖いからではなく、相手に気持ちを返されたくないゆえに)。
・恋愛ではなく、性的に惹かれることの方が先にくる。恋愛のパートナーより肉体的な関係を求めている(あとから恋愛感情が発生することもある)。
ここに羅列された特徴や心理状態を見るだけでも、「リスロマンティック」そのものが複雑で様々な形があることがわかります。
そもそもが「恋愛関係」というものを重視していない場合もあれば、心を開くことを恐れる対人恐怖に由来するものもあり、また潔癖にプラトニックな関係性を求めるひともいれば、肉体的な関係でじゅうぶんだというケースもあります。
日本における「リスロマンティック」については、以前ツイッターで話題になった漫画があります。



画像 : 【漫画】リスロマンティックとは?好きだけど両思いになりたいわけじゃない!| note
素敵だな、欲しいな、と遠くから眺めているだけで満足で、実際に手にしたいわけではない、という感情を表現した漫画です。
恋愛というものにとって大切なのは、付き合うことや触れ合うことや日々の日常やデートなどよりも、憧れているどきどき感のほうだということです。
その心理的な理由としては、根っこに「男性恐怖」や「女性不信」があるかもしれません。あるいは、幻想的な恋愛が付き合うことによって「現実的なこと」として直面することで夢から覚めてしまう、という場合もあるかもしれません。
二次元キャラクターを好きになるような感覚で憧れる、ということに由来する感情の場合もあります。
いずれにせよ、リスロマンティックとは、「遠くから憧れる、というだけで満ち足りる感情である」ということを意味しています。