好きだったのに嫌いになる現象は「蛙化現象」かも?
恋は多くの場合、まずは片思いから始まります。
片思いのうちは毎日が不安と喜びでいっぱいで、彩り豊かな日々が続きます。
好きで好きでたまらなく、付き合ったらこんな場所に行きたい、こんなことがしたいと夢や妄想は膨らむばかり。
そして、幸運にも告白したらOKだったり、実は両思いだったりした瞬間、突然冷める、嫌いになる、という現象に悩んでいる女子(男子)、もしかしたらそれは「蛙化現象」かもしれません。
蛙化現象とは、ずっと好きだったのに付き合ったら嫌いになる、相手のことが気持ち悪くなる恋愛指向を言います(同じような指向を指す言葉に「リスロマンティック」がありますが、両者には多少の違いがあります)。

周囲からすれば、散々好きという想いをアピールしながら、付き合ったら嫌いになる、すぐに別れる、という行為はわがままに見えるかもしれません。
まして繰り返していたら、女子なら「魔性の女」という噂が立つでしょうし、男子なら体目当ての「軽い男」と思われるでしょう。
ただ、蛙化現象が、こうした人たちと違うのは、「楽しんでいない」という点です。
恋に恋し、両思いになるまでのひとときを興奮するゲームのように捉え、「クリア」したら飽きる、というひとは決して少なくありません。
一方で、蛙化現象は、主体的に「ゲーム」を楽しんでいるわけではなく、なぜか嫌いになることを抑えられません。
蛙化現象の女子の心情を歌ったたかやさんさんの『蛙化現象』を聴いても、男遊び、女遊びを堪能している様子は一切伝わってきません。

それでは一体蛙化現象の原因はどういったものなのでしょうか。
主な原因としては、①自分自身が嫌い②二次元的な理想③肉体関係に拒否感の三点が挙げられます。
①自分自身が嫌い
蛙化現象の根底には、「自分自身が嫌い」という心理状態が挙げられる場合が多いです。
虐待や裏切られた経験などで自尊心が低いときに、自分を好きになれない、という状態になりやすく、自分自身が嫌いで、気持ちが悪いと思っているからこそ、より美しい存在として理想化された相手を求め、恋をし、その相手が自分を好きだと分かると、「嫌いな自分を好き」であることが気持ち悪く、相手ごと嫌いになってしまいます。
この場合、一朝一夕では解決しないかもしれませんが、たとえば趣味など小さなことでもいいのでこつこつと一人でできる何かを始めてみる、というのも効果的です。
一人で行う、ということと、続ける、ということによって、少しずつ傷ついた自尊心を和らげていってくれます。
②二次元的な理想
アニメや漫画など二次元のキャラクターや、画面の向こうのアイドルのような感覚で「好き」になると、「付き合う」という現実的な行為とのギャップで一気に冷める、ということがあります。
月が遠くから見ると美しいのに近くで見るとクレーターで凸凹していたり真っ暗な世界が広がっているように、理想の相手も近づけばそのぶんだけマイナス面も見えますし、喧嘩もあります。
その互いに傷つけあったり話し合ったりしながら、ゆっくり一緒に成長していく「過程」を尊く思えるようになれると、少し蛙化現象も治まるでしょう。
また、このことと関連して、生々しい「眼差し」を嫌悪する心理が働く場合もあります。
私が、彼ないし彼女を見つめているうちはいいですが、彼ないし彼女が私を見つめる、その人間の「眼差し」に耐えられない、というのが原因となっていることもあるでしょう。
③肉体関係に拒否感
蛙化現象の原因には、「肉体関係」に対する拒否感が根っこにある場合もあります。
これは①や②とも関連する部分もありますが、あくまで理想化された美しい恋愛として持っていたいと思い、肉体関係を結ぶことでその理想が壊れてしまうように感じるひともいます。
あるいは、肉体関係そのものに恐怖や不安を覚えることもあり、この辺りはもし付き合うことになったら正直に相手の男性(女性)に伝えるようにしましょう。
あなたのことが嫌いなのではなく、肉体関係への恐怖があるのだとしっかり伝えることで、お互いの誤解からの喧嘩もなくなりますし、相手の側も真意が分かってほっとします(わからない状態がいちばん不安になり、不安を抑えるためにひとは強引に理由を決めつけることがあるので、恐怖感などそのことで思っていることは正直に伝えるようにしましょう)。
その上で、最初は手を繋いだり、優しく抱きしめたり、キスをしたりといったことから始め、ゆっくり焦ることなく関係性を深めていくとよいでしょう。
その「過程」も、振り返ってみたらほんとうに大切な思い出になっています。
体調の影響も
また、精神的な原因以外に、女性の場合は、感情に生理前などのホルモンバランスの影響も大きく受けます。
この「好きだったのに嫌いになる」現象の背後には、生理の影響も大きいかもしれません。
食事や生活習慣、運動や睡眠の不足、日々のストレスなどで体のリズムやバランスが徐々に崩れ、心の調子も乱れていきます。
好きであればあるほど、世界の中心に彼氏が存在すればするほど、心身の調子が悪く、イライラしたときに、なにもかもが憎くなって、その中心である彼氏が全て悪いような錯覚に陥(おちい)ることがあります。
ただ、日々の生活を見直していくことで心身の不調の振れ幅も落ち着いていくので、「好き」を守るためにも生活習慣を整えていきましょう。
以上、「好きだったのに嫌いになる」現象の一つ「蛙化現象」でした。