蛙化現象

蛙化現象、由来は童話

蛙化現象、由来は童話

恋愛の心理的状態として取り上げられることも増えてきた「蛙化現象(かえるかげんしょう)」。

これは、片思いでずっと好きだったひとに好かれ、告白されたり付き合ったら急に「嫌いになる」「気持ち悪い」と感じるようになる心理現象を言います。

蛙化現象の名前の由来は、グリム童話の一つ『かえるの王さま(かえるの王子さま)』にあります。

この童話自体は、結構生々しいお話です。

以下は、『かえるの王さま』のあらすじです。

『Der Froschkönig』オットー・ウベローデ(1907年)

ある国の王女が、森の泉に金の鞠を落としてしまったのですが、そこに蛙が通りがかり、「自分を王女様のお友達にしてくれて、隣に座って同じ皿から食事を取って、あなたのベッドで寝かせてくれるのなら、拾ってきてあげよう」と言います。

王女が約束し、蛙が言われた通り泉から金の鞠を取ってきた途端、王女は約束を破って蛙を置き去りにし、城に帰ります。

城で王女が家族と食事を取っていると、蛙が再び現れ、約束を守るように言い、話を聞いた王さまも、王女に約束を守るよう命じ、その命令に従って王女は蛙と食事をし、王女は泣きながら抵抗するも一緒に寝るためにベッドに向かう。

王女は蛙を寝室の隅に置き、一人で眠ろうとするのですが、蛙から、「私をベッドにあげてください、さもなくば王に言います」と言われ、ついに腹を立てた王女はののしりながら蛙を壁に叩き付けようとします。

その瞬間、蛙の魔法が解け、姿が王子に変わり、王女と蛙だった王子の二人は結婚します。

これが『かえるの王さま』のざっくりとしたあらすじです(タイトルは『かえるの王さま』『かえるの王子さま』など訳によって違います)。

この童話では、蛙が王子さまに変わり、結婚することになりますが、一方「蛙化現象」は逆で、付き合ったら「蛙化(気持ち悪く見える)」、ということに由来します。

蛙化現象という言葉は、英語では翻訳できないので、日本で誕生した概念だと思われます。

いつから言われるようになったのか明確な時期は分かりませんが、2004年には論文が書かれ、2012年にはネット上で登場しています。

yahoo!知恵袋で質問に答える形で、次のように由来が紹介されています。

この話(『かえるの王さま』)は、色々に解釈できますが、女性の成熟過程が凝縮されているというブルーノ・ ベッテルハイム(1976)の説が精神分析的解釈として有力です。鞠で遊んでいるのが無邪気な子供の段階、鞠は無邪気な自己愛精神、これが井戸に落ちて無邪気さが失われます。鞠を取り戻して完全さを実現出来るのは、醜い蛙だけです。少女は快楽原理に従って無責任に行動しますが、そこに王さまの姿を持った超自我が登場し、少女は約束を守る人として成長を余儀なくされます。しかし、実際に蛙が身近にくると(性の目覚め)嫌悪感と不安から蛙を壁にぶつける(父親の意志に反する自己主張)行動に出ます。こうして気味の悪い蛙が王子様に変身するのです。

つまり、この話は「未成熟な間は性に嫌悪感を抱くが、心の準備が整うと、性的な事柄が受け入れられるようになる。」ということを意味していると考えられます。

この考え方に従えば、「初めは男性が蛙のように気味悪い存在でしかないが、心の成長を遂げれば、男性が王子様に見えるようになる」ということになります。(「蛙→王子様」の順序です。)

これに対し、初め片想いで王子様のように見えていた男性が、自分に好意を持っているとわかった途端に生理的嫌悪感が生じるというのは、「せっかく王子様に見えているのに、蛙になってしまう」という逆のプロセスになります。(「王子様→蛙」の順序です)

調査の結果、7割の女性に生じているので、ある程度一般的な現象と考え、「蛙化現象」と命名しました。

出典 : 「蛙化現象」と呼ぶ由来は?